14 予期せぬ出来事 【ハンター】 ①

14 予期せぬ出来事

14-①


啓太が掲載誌をすぐに受け取ったのは、

園田さんから、届く事を知っている証拠。


「園田さんから、聞いたのでしょう。作品のこと」


きちんと考えてきたはずなのに、頭から出て行った言葉は、

予想していたものとは違ってしまった。

啓太は無言のまま頷く。


「編集部で、送ってくれと言われたの。
まさか、自宅の住所まで話していたのかと、呆れたわ」


いや、もう少し冷静に語るつもりだった。

でも、啓太を目の前にしているからなのか、興奮状態が抑えられない。

悔しさと、苦しさだけが、全面に出てしまう。


「この部屋は俺の部屋だ。誰に住所を教えて、誰が訪ねてこようと、
もう、未央には関係がないだろう」



『訪ねて』ということは……



「そう……だけど……」



園田さんは、この部屋の場所を知っただけではなく、中に入った。


「あの日から1ヶ月でしょう。まだ、1ヶ月だよね。それでなに?
私が仕事で会わないとならない人と、平気でそうなるわけ」


そうとか、あぁとか、抽象的なセリフ。

ハッキリ、『抱きあったのか』とは、聞きたくない。


「園田さん、啓太が素敵だと思っていたみたい。だから、私が自爆して、
嬉しいのでしょうね、きっと。なんだかアピールばっかりされて、イライラするの」


メイクを変えて、女性らしさを全面に出されると、そう、苛立つのだ。


「何よ……これ」


どうして私が、二人の間に挟まれて、

距離が近付く時間を、知らなければならないのだろう。


「俺は男だから……」


男だから、さっさと次を探しても問題はないと、言うのだろうか。


「我慢ばかりはしていられないんだ……」


最低なセリフ。

心を寄せ合った人には、言えない言葉だろう。


「イライラするのなら、お前も解消できる相手を探せよ」


言葉が出ない代わりに、私の右手が啓太の頬に向かう。

その手は待ち構えていた左手に、完璧に止められた。

必死に、握られた手首を外そうとするが、力はあまりにも違う。

左手が空いていたことを思い出し、動かそうとしたが、今度は体ごと押され、

知らないお宅の塀にぶつかってしまう。


「痛い……」

「くだらないことをしているのは、お前の方だろう」


くだらないことはわかっている。

でも、黙っていられなかった。


「そんなにイライラするのなら……」


啓太の顔が、私の方に近付いてくる。


「してやっても……いいけど」





ダメだ……

もう、無理……

あまりのセリフに、抵抗する力もなくなり、離された腕は、力なく下に落ちる。


「俺とお前は終わったんだ。それをしっかり理解しろ。二度と……」



二度と……



「来るな」



啓太は園田さんの作品が載った雑誌を手に持ったまま、マンションへ消えていく。

せっかく少しずつ前を向こうとしていたのに、携帯で名前を見たりすることも、

回数が減ってきていたのに……



送付リストに、全てが覆されてしまった。



『してやっても……いいけど』



二度と来るなと言われた場所。

私は振り返らずに、歩き出す。

陽平と別れたときも、苦しかったけれど、ここまでズタズタではなかった。

苦しさで、息が出来なくなりそうになりながら、

私はただ、啓太との距離を開け続けた。





啓太と、最低の再会をしてから1週間。

私は、カレンダーを見続ける。



……11月に入った。



そう、今まであまり予定が狂ったこともない。指で日付を確認する。



予定より、3週間近く来ていない……



ずっと関係もなく、フェイドアウトした間柄なら、ありえないだろうが、

私と啓太は、あの別れを決定付けた日の前まで、当たり前のように抱き合っていた。

自分を問いただしても、相手は啓太しかいない。

もしかしたらの思いが、自分の中で膨らんでいく。



子供が出来たのではないだろうか。



仕事に行く前、薬局で妊娠検査薬を購入する。

職場のトイレで試してみるが、はっきりした形では現れない。

説明を呼んでみると、その人の体質や、体の状態によっても、

判断が難しい場合があるという。



『必ず医師の診断を……』



結局、医者に診てもらうしかないのかと思いながら、紙袋にしまうと、

見つからないようにバッグへ箱を戻した。



14-②




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