1 雨の日の出会い方

『アン・ラッキーガール』  

1 雨の日の出会い方

私の行動がアンバランスになってきたのは、いつからのことだろう。

そういえば、幼いときから、待ち合わせ場所に一番に到着すると、急に雨が降ってきたり、

就職をしたての新人で、朝早く机の上を拭き掃除したら、

部長が大事にしていた花瓶を落としてしまい、白い目を向けられたこともあった。


一生懸命に動くことが大切だと、田舎に住む親は教えてくれたけれど、

私はどこかそれがうまく回らず、損をしていることが多かった気がする。





「ねぇ、畑中君、秘書課の山中さんとつきあっているらしいわよ」

「エ……」


同僚達とランチに出掛けた店で、自分の彼氏が別の女性といい仲だという

とんでもない話を聞かされる。同じ職場になってから、たまたま接待に一緒に向かい、

意気投合し、私はつきあっているのだと、そう信じていた。



『なぁ……今から会いたくならない?』



時々そんな我が儘を言われ、彼が部屋へやってくるのも、私が特別な存在だから……

そう、思っていたのに。


「山中さんと畑中君って、だって、山中さんってさ……」


秘書課の山中さんは、美人だ。間違いなく私より、綺麗だし、スタイルもいい。

だから、狙っている社員は多かったし、取引先のボンボンと、

婚約寸前じゃないかという噂も聞いたことがあった。


「さぁね。まだ、噂だもん、どこまでが本気かわからないわよ」

「ふーん」


そうか、決定じゃないのなら、ただの噂かもしれない。

私はそう信じ込み、社内へ戻ると、すぐに畑中君へメールをした。



『ねぇ、山中さんと噂になっているみたいだけど……』



当然のように、『そんなことないよ、俺にはお前だけだ』。

そう帰ってくるのだと、思っていた。



『まずい、バレたか』



結局、畑中君にとって、私は2番手、

いや……調べていないだけで本当は4とか5番目だったのかもしれない。

都合のいい女、まさしくそんな存在だったのだ。



このショッキングな勘違いから、私の心は高確率で空回りするようになった。





私が傘を持っていない日に限って、相変わらず雨になることが多い。

地下鉄が地上にあがると、すぐにでも泣き出しそうな空が、出迎えてくれた。


改札を出て、まっすぐに10分ほど歩き、右に曲がればアパートだ。

そう思い電車を一番に降り、私は走り出す。


「おーい!」

「……はい?」


呼び止められた気がして振り返ると、全然知らない叔父さんが、

反対側のホームの伯母さんに手を振り、楽しそうに会話をし始めた。

せっかくダッシュしようとしたのに、私は続いて降りてきた乗客の波に巻き込まれ、

階段をゆっくり下りざるをえなくなる。


「はぁ……」


ここのところマンションが急にいくつも建ち上がり、人が増えた。

人の流れがいい自動改札機へ向かい、定期を取り出しスタンバイ。


「ゲ……あれ?」


目の前の男性がトラブルを起こし、駅員が駆けつけた。

当然のように私の歩みはストップする。


「お客様、パスの残金が足らないようです」


もう! もう! もう! 残金くらい、出掛ける前に確認してよ!


隣に移動しようにも、長い列が出来ていて、横から入ることなど、

許さないという視線が私を見る。



……また私は、ここでも波に乗り損ねた。



やっと混雑から抜け出し、走り出したとたん、待っていたように、雨は本降りになる。

こんな日に限って、私は、お気に入りのパンツスーツだった。

走ってハネをあげるわけにはいかず、すぐ横にある喫茶店に入ろうと扉に手をかける。


「あぁ……」


空いていた椅子にたった今、コーヒーを手に持ったOLが座る。

あと一つ残っている場所に座れるのではないかと店内に入ったが、

禁煙席にいた女性が、友達の椅子にするために目の前で持って行った。


店の奥に、もう一つだけ空いている席は、喫煙席だ。

雨にも濡れたくないが、煙にも包まれたくはない。

立ってコーヒーを飲むわけにもいかず、私はまた扉を開け、外へ出た。

すでに道路は全体が濡れていて、側溝の方は、小さな川のような状態に変わっていく。



『アン・ラッキーガール』



何かをしようとすると、タイミングが悪い。

私のような女を、ついていない人と呼ぶのだろう。


仕方なく喫茶店の軒下に入ったまま、黒い雲が覆った空を、恨めしそうに見あげ、

大きくため息をついた。


前を歩く人たちは、当たり前のように傘を広げ進んでいく。

今朝見たはずの天気予報は、そんなに確率が高くなかったはずなのに、

私のテレビだけ、予報が古かったのだろうか。





1、2分、そこに立っていると、傘の波から急に人が現れ、私の隣に並んだ。

手には着信音が鳴っている携帯電話を持ち、軒下に入ると、受話器を開ける。


「はい……モリタです」


私は思わず隣を見た。モリタ……そう、私の名前は森田美緒。

そんなに珍しい苗字ではないとはいえ、同じ苗字の人に隣に立たれるのは、すごい確率だ。


「エ……ダメですか? 失敗? あれ? やり直し?」


関係ない話なのだから、聞く必要もないのだが、雨の強い中飛び出すわけにも行かず、

私はじっと空だけを見続けた。


「わかりました、じゃぁ、もう一度頑張ります。はい……」


出し直し、やり直し、失敗など、落ち込みそうな言葉ばかりが並んでいるのに、

隣のモリタさんの声は明るく、元気なもので、むしろ喜んでいるようにさえ見えた。





雲の流れは速いのに、雨足は弱くなるどころか、さらに力を増す。


「あと10分ですよ」

「エ……」


突然のセリフに隣を見ると、受話器を閉じ、楽しそうな笑顔のまま、

空を見上げるモリタさんがいた。この人は天気予報士なのだろうか。

それとも勤務先が気象庁なのか、10分ではやみそうもない空を見上げ、私は考える。


「あ!」


突然の大きな声に、私は隣にいるモリタさんを見た。






みなさんの考える道先へとつづく………







【第1回 アンケート結果発表】

Q1 彼との出会いはどちらがいいですか?。(投票数163票)


  近くですから、と、自分の傘をあなたに差し出し、去っていく  ……27票

  少し遅れて隣に入ってきて、しばらく一緒に雨宿りをする  ……136票

となりました。ありがとうございました。






【第2回 アンケート】

Q2 さて、モリタさん、『あ!』と叫んだのは、なぜでしょう。
   あなたならどちらだと思いますか。投票お願いします。


  大事な忘れ物をしたことを思い出した

  目の前に何かを発見した

投票期間は10日です。ぜひぜひ、ご参加下さい。ご意見、アイデアもコメントでお待ちしています。
(私にしか見られないので、大丈夫ですよ!)





みなさんで、一緒に作ってみましょう!

ランキング参加中です。よかったら1ポチ……ご協力ください。



コメント

非公開コメント

オモシロイ!!!

うふふっ、ご無沙汰なのに一番乗り~~~っ!

テンポがよくてたのしい。
一緒の名前でつい親近感が沸いてきます。

それに続きはリクエストできるのね。
その結果によってももんたさんの物語が出来上がる。
ん?2択ということはももんたさんの中ではもう物語が出来上がってるのかな?

投票させていただきました。


明日から里帰り、プチお暇です。

チャレンジ

ヘヘヘ・・投票結果にニンマリ(^^)v

彼モリタ君も美緒ちゃんと同じ『アン・ラッキーボーイ』なのでは?
でも失敗しても、ダメ出しされてもめげない、ポジティブな人なのかな~?って思う。

『あ!』の続き、何だろう。楽しみ♪

ももちゃんは先にお話全部書けてるでしょ、今回はほんとチャレンジですね。


行き当たりばったり

tyatyaさん、こんばんは!


>テンポがよくてたのしい。
 一緒の名前でつい親近感が沸いてきます。

エ! tyatyaさんの苗字は、この苗字なの?


>ん?2択ということはももんたさんの中では
 もう物語が出来上がってるのかな?

いえいえ、この作品に関しては、何も考えてません。
考えても、方向が違ってしまうと、無駄になるし、
変に考えすぎると、無理矢理に引っ張ってしまいそうなので。

アンケートの状況を見て、そこから展開させていくつもりです。
上手く行くかどうか……ちょっと不安ですが(笑)

里帰り、行ってらっしゃい!
また、戻ってきたら、お話聞かせてくださいませ。

まずは通りましたね

yonyonさん、こんばんは!


>ヘヘヘ・・投票結果にニンマリ(^^)v

yonyonさん、こっちを選んだんだね。
これ、最後まで全部自分の思うとおりになったって人、
出てくるのか、それが楽しみな私です。

>彼モリタ君も美緒ちゃんと同じ
 『アン・ラッキーボーイ』なのでは?

うふふ……。モリタ君に関しては、
これから出て参ります。

『あ!』の続きももちろんね!

作品によって、書きながらのものもあるけれど、
最低でも3、4話は先を書くから、決まるまで書けないってパターンが初めてです。
そうそう、私もチャレンジなんですよ!

おぉ!

楽しいですね・・・この作品作り。
楽しい~♪ゲームをしている気分♪
続きを楽しみに投票しつつ、この作品を楽しみたいと思います。
アンラッキーから抜け出せることを祈って!

これから徐々に……

yokanさん、こんばんは!


>本当についてない一日だよね、
 ここまでくると「アン・ラッキーガール」だわ(ーー;)

あはは……。いっぺんじゃないにしても、
こんな経験ありますよ、私(笑)。
電車から降りたら雨が降ったり、前の人が改札にひっかかったり……。

そう、畑中君ね、これは悪い男です。
まぁ、そこらへんも、のちのちです。

一緒にゲーム

ヒカルさん、こんばんは!


>楽しい~♪ゲームをしている気分♪
 続きを楽しみに投票しつつ、この作品を楽しみたいと思います。

わぁ~い! ありがとうございます。
みなさんの投票がなくなったら、成り立たない話なので(笑)

そうそう、アンラッキーから抜け出せるのか、そこがポイントです。

いよいよ~~♪

こんばんは!

ジョイント・ストーリーいよいよ始まりましたね。

アンラッキーな女の子・・・
私もあるあるそんな事~って思いながら楽しく読みました^^

次の投票はどっちにしようかな?

この出会いが、ラッキーな未来へ繋がるように祈りながら
次の展開楽しみにしています~♪









はじまりました

バウワウさん、こんばんは!

はい、はじまりました!
他の作品と違って、何も先を考えずに、みなさんの意見を待っている状態です。そんなこと私もあった……と、身近に感じてもらえたら嬉しいな。


>この出会いが、ラッキーな未来へ繋がるように祈りながら
 次の展開楽しみにしています~♪

はい、ありがとうございます。