10 うちの規則を知っている? 【10-2】


【10-2】


「10月に……ですか」

「あぁ、来年『KURAU』が出来て50周年ということもあって、
それぞれの企画部の中でメンバーを絞って、新商品の開発に力を入れるという話だ。
『第2』ではもちろん、最上に加わってもらうが、
あと数名、今の12人の中から、選んでもらわないとならない」


祥吾は、出社してきた吉川から、

秋から作られる選抜チームについての詳細を聞かされた。

『復刻版』の商品を出すことと、『新商品』を出すことが決まっていて、

そのメンバーを選ぶ作業が、必要となってくる。


「最初から君にこの話をしていると、考えてしまうだろうと思っていたので、
慣れてくるまではと思い、何も言わなかったが、そろそろ個人の力も、
ある程度見抜けるくらいになってきただろうから、頭の中に入れておいてくれ」


吉川は、最終的に決めるのは自分を含めた部長クラスだけれど、

メンバーを仕切るのは祥吾だからと、話を聞かされる。


「わかりました」


祥吾は頭を下げると、『第2企画部』に戻っていく。

そこには12名のメンバーが、それぞれの仕事を抱え動いていた。

祥吾の視線は、ひかりに向かう。

『50周年記念』のメンバーが決まれば、トラブルがあってはまずいと、

今よりも厳しく状況を調べるかもしれない。

となると、禁止されている『副業』をひかりがしていたとなれば、

そのタイミングで『退職』ということにもなりかねない。

祥吾は視線を前に移す。

そこには小春と一緒に、カラーチャートを追っている雄平がいた。





「一人暮らし……ですか?」

「うん」


その日の昼休み、祥吾は雄平を誘い、ランチに出た。

雄平は『第2企画部』の中で、『一人暮らしをしているのは』と聞かれたため、

右手の指を折っていく。


「えっと……おそらくですけど、俺と高坂。それに鈴本。
女性では細川と……浅井……」


ひかりの名前が登場したため、祥吾は『一人暮らし』という情報を得る。


「あと……」


雄平から12名のうちの半分が一人暮らしであることを聞かされる。


「それが……何か」

「あ、うん。いや、えっと……」

「もしかしたら『創業記念のメンバー』ですか」


雄平は、『一人暮らしの人間はダメ』だとか、条件がつくのですかと聞き返す。


「いや、違う」


祥吾は、それはないと雄平の意見を否定した。

雄平は、『それならなぜ』と不思議そうな顔をする。


「一人暮らしは大変だろうなと……色々」


祥吾は、『どう答えていいのか』わからなかったので、

どこか抜けたようなコメントをしてしまう。


「最上さんも一人暮らしでしょう」

「ん? あぁ、うん。まぁ、親戚がそばにいるから、何かあったら……」


祥吾は、自分は慣れたものなのでと、ごまかそうとする。

雄平は、意味がわからないなと思いながら、『そうですか』ととりあえず返事をした。





「一人暮らしがまずいかもって、どういうことですか」

「いや、うん」


その日の午後、雄平は以前から『創業記念のメンバー入り』を希望していた智恵に、

その情報を流した。


「もちろん、最上さんは関係ないと言ったけれど、でも、おかしいだろう。
急に『一人暮らしをしているのは誰だ』って……」

「確かに……」

「でも、そんなことで仕事の条件が動くわけはないと思うんだけど」


雄平はそういうと、コーヒーを飲む。


「逆に、一人暮らしの人を優先して、採用しようとか……」

「それもおかしいだろう」

「……そうですね」


智恵は、誰かと電話をした状態の祥吾を見る。


「最上さんって、時々おかしなところがありますよね。
いまいちつかめないんです、色々と」

「うん……」


雄平と智恵はそう言って首を傾げると、互いに顔を見合わせた。





祥吾は、気分転換にコンビニにでも行こうかと思い立ち上がり、企画部を出た。

廊下を歩きながら、ポケットに財布があるかと確認する。


「最上さん……」


追いかけるように部屋を出て、祥吾に声をかけたのはひかりだった。


「何?」

「あの……やっぱり、今日、お話を聞きます」


ひかりはそういうと、『この間のお店で待ってます』とだけ告げて離れていく。

祥吾は、ひかりから会うことを望んできたため、

自分の伝えたいことに気づいたのかもしれないと思いながら歩く。

事実を知ったこと、それをまずはしっかりと伝え、決して上からにならないこと、

脅すような言い方をしないで、悩みを聞く姿勢を取ろうと思いながら、

階段を1段ずつ降りていった。


【10-3】



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