24 仲がいいことは問題ある? 【24-5】


【24-5】


「『カリーナ』ですか?」

「そうなの。最上さんの叔父さんのトラブルが、なんとか出来そうで。
昨日、叔父さんの方から兄に連絡が入ったって」


祥吾と友則が『かをり』で飲んでから10日後、結局、相手の要求は却下された。

それでも、友則はそばにいてくれた女性に対し『感謝の気持ち』を支払うことに決め、

相手もそこからは何も言ってこなくなった。

智恵はひかりと小春を誘い、いつもの店でランチを注文する。


「『カリーナ』って、あの、結構知られているお店だよね、イタリアンの。
あれ、最上さんのご親戚のお店なの?」


小春はひかりを見る。


「そうなんだって。叔父さんが経営しているらしい」


ひかりはナフキンの袋を外す。


「なんだか悪いよね。あくまでも仕事で引き受けたので、
そこまでいいですよって兄も言ったけれど……」


友則は智恵の兄に連絡をし、どうしてもお店に招待したいと話をしたらしく、

智恵はひかりと小春にも誘いをかける。


「私たちが?」

「そうよ。だって最上さんいるし。小春も山内さんに声をかけてくれない。
一緒に来てよ」

「いや、でも……ねぇ」


ひかりは、あくまでも仕事からのことなので、

『これは私たちが絡まない方が』と小春と顔を合わせる。


「そうですよ、私も山内さんも関係がないし」

「いや、それはわかるけど、逆にお願いしたいのよ。
兄が何度も結構ですって言ったら、それなら、お友達も数名誘って来れば
来やすいでしょうって言われたみたい。だから……ね。
私だって、兄を紹介しただけで、最上さんの叔父さんとかよく知らないもの。
緊張しちゃうし。そこにひかりや小春がいてくれたら、まぁ、いいかなと」


智恵は、『そうしてよ』とひかりと小春を見る。


「山内さん、いいって言うかな」

「あ、それなら私から頼もうか」


智恵が自分が説明するよと小春に言う。


「あ……お願いします」


小春は『個人的には『カリーナ』に行ってみたい』と嬉しそうに笑う。

ひかりは『みんなが行くのなら』と返事をし、『Bセット』を選んだ。





その日の帰り、祥吾と雄平を含めた5人は『たきのや』に向かった。

そこで智恵はあらためて『カリーナ』に招待されたことを話す。


「叔父が?」

「はい。兄の事務所に連絡を入れてくれたみたいで。
トラブルが思っていたよりもうまく流れたから、本当に助かったと喜んでくれて……」

「最上さんの親戚なんですか、『カリーナ』」


事情を初めて聞いた雄平は、そう聞き返した。


「あ……うん」

「前にテレビ番組で紹介されてましたよね、あの滝川和花が出ている」


雄平の台詞に、祥吾は『それで面倒なことになった』と写真誌騒動を振り返る。


「あぁ……あれ」

「そうなんだ。叔父の店を取材することが決まっていたからさ、
あんまり変なことも言えないしって、気をつかっていたらあんなふうにね」

「あ、ありましたね、そんなこと」


小春は『写真を見て、高坂さんが一番興奮していた』と当時を振り返る。


「いやいや、小春も結構、ウキウキしていたよね。
いつもなら煙たがる高坂さんと、珍しく笑い合ったりして」

「そうそう」

「あ……智恵さんもひかりも、そういうこと言わないでよ」


小春は、すぐに隣に座る雄平を見る。


「ん?」

「いえ、別に……」


小春の反応がおかしくて、ひかりは『クスクス』と声を抑えながら笑った。

祥吾はあらためてメンバーを見る。


「まぁ、トラブルが回避できたことの感謝で接待したいというのが
今川家の気持ちだろうから、みんながいいなら、一度行ってくれたら」

「はい!」


小春は嬉しそうに返事をする。


「それなら、一番のメインになる『藤堂法律事務所』のみなさんの都合に合わせよう」


祥吾の声に、全員が『そうですね』と頷いた。





あまり年の瀬になると、クリスマスだの忘年会などが入るため、

『カリーナ』での食事会は、それから5日後の夜7時からに決まった。

場所は、祥吾が和花と顔を合わせたあの店になる。

店の奥側を貸しきりのような状態にし、料理も全て友則と勇也に任せることになった。


「叔父さんがここで?」

「そうよ。前に今川さんと祥吾さんと来てくれて。その話をしていたもの。
へぇ……『カリーナ』にひかりたちも行くことになったんだ」


ひかりは、仕事終わりに『かをり』に顔を出す。

華絵が『今川家のトラブル』を本人達から聞いていたことがわかり、

さすがだと納得してしまう。


「うん。智恵さんもね、自分はお兄さんの事務所を仲介しただけなのに、
叔父さん達を知らないから、招待されても緊張するって、
助けるつもりで来てって言われたの。もちろん、今川家のみなさんも、
そうしていいって言ったから行くんだよ。勝手に行くわけではないから」

「そう……」


華絵は、『今日も祥吾さんと待ち合わせなのか』とひかりに話す。


「ん? 違うよ。今日は華絵ちゃんに葉書を持ってきたの」


ひかりはそういうと、母から届いた1枚の葉書を出す。

引っ越しは年明けなのだが、新居を選ぶために数回宮崎に向かったこと。

近所に美味しいお店があり、そこのご夫婦が以前、

父が勤める企業の工場で働いたことがあったため、話が合うことなど、

『引っ越しに前向き』な母の言葉が並んでいる。


「へぇ……すっかり前向きじゃない。お姉ちゃんらしいと言えばらしいわ。
バタバタするのに、急に気持ちが切り替わって」

「ねぇ……でも、ホッとしたけど」


ひかりはしばらくしたら行ってみようと思っていると話す。


「宮崎に?」

「うん。私、九州って福岡しか知らないの。父と母がいる間に行かないと、
宮崎って、この先縁があるかもわからないし」

「あ、そうね。私も行こうかな」

「行こう、行こう、華絵ちゃん」


ひかりはそういうと、『気候がいいらしいよ』と唐揚げを一つ食べる。

華絵は『いつがいいかな』と言いながら、小鉢に料理を入れ始めた。


【25-1】






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